「未病」とは何か? — 病気になる前に気づく東洋医学の知恵
東洋医学には「未病(みびょう)」という独自の概念があります。これは、まだ病気とは言えないけれど、身体のどこかにバランスの乱れが生じている状態のこと。西洋医学の検査では「異常なし」と言われても、なんとなく疲れやすい、冷える、眠りが浅い——そんな不調こそが未病のサインです。東洋医学ではこの段階で氣・血・水の巡りを整えることで、病気への進行を防ぎます。

COLUMN
東洋医学の知恵を、
日々の暮らしに
院長の縞 太二が、東洋医学の考え方やセルフケアの方法、 季節ごとの養生法などをわかりやすくお伝えします。 鍼灸や氣功の専門的な知識を、 皆さまの日常に役立てていただけるよう、 健康に関するさまざまなテーマを取り上げてまいります。
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東洋医学には「未病(みびょう)」という独自の概念があります。これは、まだ病気とは言えないけれど、身体のどこかにバランスの乱れが生じている状態のこと。西洋医学の検査では「異常なし」と言われても、なんとなく疲れやすい、冷える、眠りが浅い——そんな不調こそが未病のサインです。東洋医学ではこの段階で氣・血・水の巡りを整えることで、病気への進行を防ぎます。
日々の生活の中で手軽にできるツボ押しは、セルフケアの基本です。肩こりには「肩井(けんせい)」、頭痛には「合谷(ごうこく)」や「太陽(たいよう)」が効果的です。大切なのは「痛気持ちいい」と感じる程度の力加減で、一つのツボにつき3〜5秒の圧を5回ほど繰り返すこと。お風呂上がりの血行が良い時間帯に行うと、より効果が期待できます。
東洋医学では、春は「肝」の季節とされています。冬の間に蓄えたエネルギーが芽吹くように動き出すこの時期、肝の氣が滞ると、イライラや目の疲れ、肩こりが起こりやすくなります。春の養生の基本は、早起きをして身体を軽く動かし、酸味のある食材(梅干し、柑橘類など)を適度に摂ること。氣の巡りを促し、のびやかに春を迎えましょう。
氣功の根幹をなすのが「呼吸法」です。普段無意識に行っている浅い呼吸を、意識的にゆっくりと深い腹式呼吸に変えるだけで、自律神経のバランスが整い、全身の氣の巡りが改善されます。基本は「鼻から4秒かけて吸い、口から8秒かけて吐く」こと。吐く息を長くすることで副交感神経が優位になり、心身がリラックスした状態へ導かれます。
東洋医学では、体質(証)に合った食事が健康の土台と考えます。冷え性の方は身体を温める生姜・ネギ・シナモンを、のぼせやすい方は熱を冷ますきゅうり・トマト・豆腐を積極的に。また、疲れやすく氣が不足しがちな方には、山芋・棗(なつめ)・鶏肉などの氣を補う食材がおすすめです。自分の体質を知り、毎日の食卓から養生を始めてみませんか。
冬は「腎」の季節です。腎は生命エネルギーの根本を司る臓腑であり、冬にしっかり養うことが一年の健康を左右します。冷えから腎を守るために、足首・腰回りの保温を心がけ、黒い食材(黒ごま・黒豆・海藻類)を意識的に摂りましょう。また、冬は「蔵(ぞう)」の季節——激しい運動は控え、早く寝て遅く起き、エネルギーを蓄えることが春への備えとなります。
MESSAGE
東洋医学は、何千年もの歴史の中で受け継がれてきた 「生きる知恵」の体系です。 しかし、その奥深い知識が日常の中で活かされる機会は、 残念ながらまだ多くありません。
このコラムでは、30年以上の臨床経験から得た知見を、 できるだけわかりやすい言葉でお伝えしてまいります。 季節の養生、日々のセルフケア、食事の工夫—— 小さな積み重ねが、大きな健康につながると信じています。 皆さまの毎日が少しでも健やかになるよう、 お役に立てれば幸いです。
縞 太二
